01 9月 ノエル・ピカぺール Noël Picaper
ノエル・ピカペールは2016年にストラスブール国立高等建築学院を卒業した建築家。スイス、日本とフランスで経験を積んだ後、2019年に建築事務所《Onomiau》を設立。公共空間に設置される東屋、民間プロジェクトの設計監理、都市・景観設計、展覧会、教育、フィクションなど、様々な分野の間を行き来しています。
儀式や地球のサイクルに敏感なノエル・ピカペールはそのリサーチの一部を風変わりな建築を編み出すことに割り当てています。それは、短い間、場所の性質を高め、その場所の利用者を探検家に変身させる建築です。ささやかな規模であることが多いこうした構造物は、世界を凝縮することに適用され、その脆弱性を本質的な要素として引き受けるものです。構造物の位置と公共空間への組み入れられ方、またそれが始動する教育的側面は、地域レベルで共鳴することのできる空間を生み出します。構造物は亡霊のように立ち現れたり消えたりし、慎み深く、時には目に見ないが、しかし重要な現在の痕跡を残していきます。
Yakitecture/焼きテクチャー:燃焼の建築についてのメモ
ノエル・ピカペールは日本において建築と火の間に存在する関係を探りたいと考えています。赤く燃え盛る火を用いた儀式から黒く焼かれた建材まで、燃焼は世界に住み着く方法を物語っています。象徴的にも技術的にも、燃やすことは未来の欲求を遥か遠い時代と直ちに関連づける物語の始まりとなります。
ヴィラ九条山でのレジデンス期間中、火炎と関係する要素や動作が条件づける組み合わせや日本の空間性の記録に一定の調査期間が割り当てられます(修復、温泉、茶室、幽霊・妖怪、焼杉、焼畑、暖房器具など)。こうしたシステムは次に、その現代化の可能性および現在の仕組みへの取り入れられ方と照らし合わせて、検討されることになります。東屋や公共空間を作り出すことに魅力を感じているノエル・ピカペールは、こうしたリサーチを通して、私たちが歩き回っている場所の中に眠っているものを活性化させるための仮説を立てることを試みます。燃焼を巡るこうした考察は、ノエル・ピカペールにとって、古風さと現代性がアーキタイプ、記号や儀式によって対話する – ピカペールの実践の方向性に忠実な – 奇妙な建築言語を開発する機会となります。
Crédits photos :
– 00_Noël Picaper_credit photo Onomiau
– 01_Noël Picaper_Dryade_Forbach 2021_credit photo Onomiau
– 02_Noël Picaper_Les Huit Collines_Métis-sur-Mer 2022_credit photo Onomiau
– 03_Noël Picaper_Medusa_Reims 2020_credit photo Onomiau
– 04_Noël Picaper_Ginnungagap_Jukkasjärvi ice hotel 2021_credit photo Onomiau
– 05_Noël Picaper_Soft Areas_Tokyo 2022_credit photo Onomiau