02 9月 テオ・ムザールとマリーヌ・ロワイエ Théo Mouzard et Marine Royer
テオ・ムザールとマリーヌ・ロワイエ:建築、景観、都市計画
建築家兼アーティストのテオ・ムザールは、団体「Collectif Etc」の共同責任者でもあります。コミュニティのパブリック・スペースを生まれ変わらせるため、各コミュニティに適した方法を提案するムザール。これにより、気候変動や社会問題におけるプランナーとしての在り方に疑問を投げかけています。アート、職人仕事、建築を融合させた工事現場を提供することで、異分野相互間の協働とクリエーティブな瞬間が誕生しています。これと並行して行なっている研究活動が実を結び、Hyperville出版を設立。「An Architecture School of Commons」(2021-2024年)の欧州研究活動プログラムの共同指導者も務めました。
サービスデザイナーのマリーヌ・ロワイエは、2006年に公立美術大学のÉcole Boulle-HESAMを卒業。「vives voies」という団体の共同設立者および共同責任者として、人間・社会科学、文化、連帯、デザインのつながりを探求するプロジェクトの発案・推進に尽力しています。2015年にフランス国立社会科学高等研究院(EHESS)で博士号を取得。2016年からは、ナント大学のデザイン研究ラボである「PROJEKT」のデザイナー兼研究員および局長補佐を務めています。「ケア」をコンセプトとして、実験的アクション・リサーチを行うロワイエ。デザイナーとしての介入よりも、既存するダイナミックさを尊重したメンテナンスや修理を優先すること、つまりデザインを継続的に「大切に扱う」ことの重要性に光を当てています。
その先が見える建築 – 自然災害危機にある日本の田舎におけるケアと復旧・復興:資源から場所、景観から物へ
過去から現在に至るまで繰り返されてきた災害により、日本人は、新たな形での環境保護と日常空間の使い方の模索を地域レベルで迫られています。特に、2011年の東日本大震災および福島第一原子力発電所の事故以降、「ケアと復旧・復興」に対する日本の建築家とデザイナーの意識は大きく変わりました。デザイン、職人仕事、芸術の関係性は、こういった建設業従事者のコミットメントのおかげで、より深まったのです。モナン(2014)が提唱する「エコロジカル・リダイレクション」の視点によれば、重要なのは、新たな建築をつくらないこと、都市生活の限界を再考すること、そして特に脆弱な立場にあるコミュニティを巻き込み、エンパワメントしていくこと。これらの課題は、2008年の経済危機以来、ヨーロッパとフランスでも共通して見られます。楽観的かつ希望に溢れるエコロジカル・リダイレクションの実践は、特に田舎における積極的な関わりと、資源とノウハウの共有により実現します。本リサーチでは、「資源から場所へ」と「景観から物へ」という、二つの進む道を探ります。
Crédits photos :
Portrait : Théo et Marine – Nîmes 2021 © Thomas Heydon
1- Projet “Paquita” – Nîmes 2021
2- Projet “Pétassages” – Lozère 2023 © François Huguet / Vives voies
3- Projet “Un atoll au Nord” – Tromso (Norvège) © Collectif Etc
4- Projet “Service d’art à domicile” – 2022 © Vives voies / Derrière le Hublot