26 12月 エリック・ミン・クォン・カスタン&アンヌ=ソフィ・テュリオン Eric Minh Cuong Castaing et Anne-Sophie Turion
エリック・ミン・クォン・カスタン
パリのゴブラン映像学院を卒業した振付家でビジュアル・アーティストのエリック・ミン・クォン・カスタンは数年間、アニメーターの仕事をしていました。リアルタイムでの振り付けに興味を抱いた彼は、1997年にまずヒップホップを発見し、次に暗黒舞踏や現代ダンスを知ることになりました。
自らのダンスカンパニー《Shonen》(日本語の「少年」に由来)において、エリック・ミン・クォン・カスタンはダンス、ニューテクノロジー(ヒューマノイド・ロボット、ドローン、拡張現実など)と社会の現場における身体を、舞台、インスタレーション、パフォーマンスや映像で関係付けています。
その仕事はフランスやヨーロッパで発表されており(パレ・ド・トーキョー、デュッセルドルフのタンツハウスNRW、マルセイユ・フェスティバル、シャルルロワダンス、ニュイ・ブランシュParis 2018)、様々な賞に輝いています(アウディ・タレント賞2017、ボーマルシェ=SACD協会のダンス奨学金)。
エリック・ミン・クォン・カスタンは2016年から2019年にかけてはマルセイユ国立バレー団の、そして2020年からは国立演劇センター《コメディ・ド・ヴァランス》のアソシエート・アーティストとなっています。
アンヌ=ソフィ・テュリオン
アンヌ=ソフィ・テュリオンは造形作家でパフォーマー。
舞台や公共空間で、パフォーマンス、音響作品やビジュアルアーツを通して、現実に立ち向かい、見直すことで、現実をフィクションの側に転換させることを行なっています。2014年には、ジャンヌ・モワノと一緒にカンパニー《Le Parc à Thème》を設立し、ビジュアルアーツとパフォーミングアーツに跨った作品を制作。彼女の仕事は、国際現代アート・表現フェスティバル《Actoral》(マルセイユ)、ポンピドーセンターのフェスティヴァル《Hors-pistes》、プロヴァンス・アルプ・コートダジュール地域圏現代美術財団[Frac PACA](マルセイユ)やレジデンス施設《Centrale Fies》主催のフェスティバル《Drodesera》(イタリア)などで紹介されています。
次回作となる『Belles plantes/美しき植物』はエルメス財団の舞台芸術プログラム《New Settings》に入選しています。
Hiku/引く
ヴィラ九条山が迎え入れる2人組のプロジェクトは『引く』と題されています。これは「引きこもり」に因んだもの。日本で大きな社会問題となっているこの現象は、若い大人やティーンエージャーが自分の部屋に閉じ籠り、外部との接触を断ち、自分の世界に逃げ込むことを指しています。
ダンス、音響・ビデオ作品を組み合わせた『引く』は、レジデンス期間中に2つの探求方式に基づき構築されることになります。一方では、引きこもりの人たちの家族からドキュメンタリー素材を集めるとともに、オンラインのバーチャル世界を探求することで、彼らが生活するバーチャルな空間と現実空間を再構成することができます。
もう一方では、社会復帰の途上にある引きもこりの人たちとのダンス・ワークショップが京都のNPO法人の協力を得て実施されます。
バーチャルで忘れられた身体から具現化された身体へ、孤立から身体的接触へと、『引く』は捉えがたい存在ながら、自分の存在の仕方を探し求めているこうした個人の参加を求めることになります。