07 9月 マグローヌ・ヴィダル Maguelone Vidal
作曲家、演出家、ミュージシャンにしてパフォーマーのマグローヌ・ヴィダルは特異な芸術領域を開拓しています。身体と音の間の詩的で感覚的な関係を探究し、音響、舞台とドラマツルギーからなる包摂的な仕掛けを作り出しており、それは聴衆を音楽に対する共感覚的なアプローチへと誘います。彼女の歩みはクラシックピアノと医学を学ぶことで始まり、どちらに関しても目標を成し遂げています。その後、サクソフォンに打ち込み、現代音楽に情熱を注ぎ、フランスや欧州各地の舞台で演奏してきました。共演者にはジョエル・レアンドル、ブリュノ・シュヴィヨン、パスカル・コンンテ、ディディエ・プティ、カトリーヌ・ジョニオー、クリスチャン・ザネジなどが名を連ねています。
10年以上前から、マグローヌ・ヴィダルは断固としてハイブリッドで、分野横断的で多感覚的な舞台芸術の演出と作曲を行い、その作品はフランス国内外で上演されています。料理人1名、演奏家4名と会食者100名のための作品『La Tentation des pieuvres/蛸の誘惑』はランス国立演劇センターでの初演後、フィルハーモニー・ド・パリ、モントルイユ国立演劇センターやメッスのコンサートホール《アルセナル》のほか、フランスの各地の舞台芸術センター《セーヌ・ナショナル》、フランス国内外の劇場やフェスティバルで上演されてきました。常に新しい社会的・政治的空間を切り開くことを試みるマグローヌ・ヴィダルの作品は、アートと個人の間の現代的な交感の形式を讃えるものです。
音楽は言葉の中にある
言語は、それが私たちに馴染み深いものであれ、馴染みのないものであれ、音の構成により私たちに働きかけます。私たちは母語に音楽的構成を与えることにより他者を手なずけるのです。マグローヌ・ヴィダルのリサーチ・プロジェクはこうした原理を試み、分析し、探求するもので、それを独りで行うと同時に日本のミュージシャンやサウンドアーティストとも共同で行います。
プロジェクトは出会いと常に刷新される聴く技術を推し進め、そこで最重要となるのは社会的・職業的環境も年齢も出自も異なった人々との出会いです。彼らは異なったアクセントや様々な言語の担い手であり、ずっと以前から京都に住んでいる人もいれば、京都に来てまだ日の浅い人もいます。こうした出会いを通して、彼らの物語のプロソディ(韻律)に基づく曲作りが行われます。これはハイブリッドな性格を備えた参加型の創作プロジェクトを開始するもので、そこでは音楽、パフォーマンス、演劇と舞台美術が交錯することになります。
Crédits photos :
-Portrait © Marc Ginot
– La Tentation des Pieuvres © Marc Ginot
– Qui m’appelle © Marc Ginot
– Le Cœur du Son © Marc Ginot
– Lalalair © Yanick Dumas