29 9月 セリーヌ・シルヴェストル Céline Sylvestre
セリーヌ・シルヴェストルは1977年生まれ。リヨンで宝飾品加工の伝統的修業を積んだあと、現代ジュエリーを学び、2003年にパリの応用芸術教育開発協会(AFEDAP)から「フリーランス・デザイナー」の資格を取得。それ以来、私たちの時間との関わり方を問いかける個性的なジュエリーを提案しています。彼女の仕事はフランス国内外で発表されています。2013年には、ローランス・ヴェルディエとガラテ・ペストルと一緒に現代ジュエリーの新しいイベント「Précieux passages/プレシャス・パッセージ」のキュレーションを担当し、パリで初開催の国際現代ジュエリー・フェア「Les Circuits bijoux/ジュエリー・サーキット」の企画に参加しました。
セリーヌ・シルヴェストルは2015年1月から4月にかけてレジデントとしてヴィラ九条山に滞在。「 Ce que portent nos corps/私たちの身体がまとうもの 」と題されたセリーヌ・シルヴェストルのプロジェクトは、過ぎ去る時の証人としての身体について問いかけるものでした。使い慣れた素材を専門店で探す段階のあと、最終的に決めたのは、常日頃とは異なった作業環境を活かし、出会いに任せて、西洋では用いられていない新しい方法や新しい素材と親しむことでした。日本の日常における聖なるものの存在に強い影響を受けた彼女の探求は、いくつかの方向性を伴いながら、分銅をテーマにした仕事を延長するとともに、花の腐敗や亡霊のテーマを問いかけるものとなりました。
大学や工房を訪れることで、セリーヌ・シルヴェストルは金属加工の伝統技法や組紐の技法を用いた伝統的な糸の使い方を発見し、自ら試してみました。特に、京都伝統工芸大学校(TASK)の金属工芸専攻学科のクドウ・ヒラク教授や伝統的な金工象嵌のひとつ「布目象嵌」の名工のもとで研修を行うことができました。
セリーヌ・シルヴェストルのレジデンス中のリサーチ活動とフランスに戻ってからの一連の作品は、尾道での「オノミチ・ランデブー」展のほか、ニュイ・ブランシュKYOTO 2015の際には京都のギャラリーC.A.J.でも紹介されました。