29 9月 ミリン・グエン Mylinh Nguyen
デュペレ学院で繊維工芸を、オリヴィエ・ド・セール学院(国立応用芸術工芸高等学院)で金属工芸を学んだミリン・グエンは銅系金属の旋盤加工のスペシャリストで、2002年からこの珍しい技術を中心に据えてオブジェやアクセサリーの創作に励んでいます。2013年には、「手の賢さに捧げるリリアンヌ・ベタンクール賞」を受賞。
ミリン・グエンは秘密というテーマでヴィラ九条山での仕事を進めました。その発想源となったのは動植物の世界や、樹皮、栗のいが、昆虫の殻、棘や繭など自然界で身を守る手段となっているものを巡るもので、そこから一連の新作オブジェが生み出されました。
通常は金属加工を行っているミリン・グエンは、レジデンス中はいつもの機械が使えないため、そのリサーチを様々な素材や新しい技法を中心として方向付けました。こうしたアプローチは、最初は戸惑いを伴うものでしたが、ハブリッドなオブジェ、彫刻、ジュエリー・コレクションのほか、遊びや子供と言ったテーマに触発されたオブジェを生み出す助けとなりました。
ヴィラ九条山でのリサーチを出発点として、ミリン・グエンはフランスで「Petits dieux de misère/取るに足らない小さき神々」と題された一連の作品を制作。折り紙でできた昆虫の殻のように構成された音の出る作品は、ほとんど聴き取れない言葉を囁きかけてくれます。