01 1月 大島祐子 Yuko Oshima
日本のロックシーン出身のドラマーで作曲家の大島祐子は、2000 年からフランス在住。1960年代現代音楽打楽器グループの先駆けであった Les percussions de strasbourg (パーカッション デゥ ストラスブール)付属の打楽器学校、そしてストラスブール国立音楽院で学んだあとジャズ即興音楽をメインに活動。ピアニスト、エヴ・リセールと立ち上げたデュオ「Donkey Monkey」他多様なプロジェクトで、ドイツのメールス・ジャズ・フェスティバル、バンクーバー・ジャズ・フェスティバルや東京 JAZZ など、ヨーロッパを中心に数多くのフェスティバルに出演。2015 年には初めて個人のプロジェクトを始動。「Bishinkodo/微振鼓動」はドラムとアクースモニウム(スピーカーのオーケストラ)を組み合わせたミクスト・ミュージックのプロジェクトで、エリック・ブロワットマン(音楽カンパニー《Motus》メンバー)とのコラボレーション。2018 年には、トリオ「Hiyomeki/ひよめき」を立ち上げ、即興における集団的作曲手法を構築しようとしました。
ドラムに加え、お鈴などの金物を用いた大島の音の探究は演劇やダンスなど別の領域でも展開されていて、例えば新しい即興の形態を模索したダンサーのダミアン・ブリアンソンとのプロジェクト「Sourdre/湧き出づる」などがその一例です。
‘Ma’ / 間
日本文化が大切に育んだ「間(ま)」。それは経験に基づく認知の仕方に応じて変化する 2 つの何かの《あいだ》の空間、または時間。つまりそれは解釈する側の意図に応じて立ち現れ、と同時に消失する概念。そんな美しく慎ましい、と同時に大胆で独特な自国文化の概念に、自身が根底から影響を受けている西洋音楽と、2000年から身をおいて学んだその技術的知識とを掛け合わせて何か新しいものを作りたいという衝動から、大島祐子の新しいプロジェクトは生まれました。
自分の中の日本文化への問いかけは2008年からのソロプロジェクト「KefuKefu/けふけふ」から既に始まっているが、新しいプロジェクトでは、特に「間(ま)」における時間の概念を音楽のうねりに滑り込ませ、どこか新しいグルーブを作り出そうと試みます。そのために大島祐子は長唄や、伝統音楽の伴奏につき物の囃子をその道の大家から学び、日本の伝統音楽の《ノリ》を通じてこれらの間合いと向き合い、身につけることを目指します。
写真 :
Portrait : Yuko Oshima, crédit Stéfanie Marcus
Yuko Oshima_credit Sem Brundu
Yuko Oshima_credit Kurt Rade
Yuko Oshima_2019_credit Ken Carl