02 9月 レジス・フルリー Régis Floury
レジス・フルリー:工芸
弦楽器職人、古楽器修復家、伝統的な弦楽器職人であるレジス・フルリー。古典的技術と手業に魅せられ、風化の危機にある職人技を探究しながら、自らの作品づくりに活かしています。指物師としての訓練を終えたのち、ブリュッセルで金属工芸を学んだフルリーは、パリの国立文化遺産学院を卒業。その後、スペインの Escola Municipal de Artes e Oficios de Vigo にて弦楽器職人のゼイム・リバスを師事しました。フランスとスペインの美術館で修復家として従事する側、世界各国のクライアントからの注文を受け、オーダーメイドのバロックギター制作しています。フルリーは、Galega de Artesanía財団、フランス・リュート協会、ミケランジェロ財団のメンバーでもあり、España Artesaña と呼ばれるプラットフォームの会員でもあります。
切り株寄木(TARSIA A TOPPO)&寄木細工
本プロジェクトは、日本の寄木細工の技術研究に基づいています。日本の伝統工芸の一つである寄木細工は、16世紀にイタリアを中心にヨーロッパで広まった木象嵌である切り株寄木(tarsia a toppo)の技法と共通項を持ち、ギターなどの楽器の装飾に使われています。弦楽器職人一家であるヴォボアム家の時代から、切り株寄木は、楽器のサウンドホールの縁を装飾するパーツであるロゼッタや、「Pistagne」と呼ばれる縁飾りとして広く用いられてきました。ヴィラ九条山では、切り株寄木の技法を日本の寄木細工へ応用する道を探ります。ギターのロゼッタに用いられる技法のように、新たな装飾の形を生み出すことで、二つの技法を融合させたいと考えています。さらに、古典的な縞模様を新しい装飾として応用することで、より奥行きのある装飾表現を目指します。ヴィラ九条山滞在期間中、日本の職人との交流を通して、切り株寄木の技法に触れ合ってもらいたいと考えています。
Crédits photos :
Portrait: Isaura Docampo
Produits : Régis Floury