01 12月 ジャン・ロー Jean Rault
ジャン・ローは1949年生まれ。大学で法学と哲学を学んだあと、ブレストおよびカンペールの美術学院で学びました。絵画の免状を取得したあと、1975年にはマドリードにあるフランスの国外研究機関「ヴェラスケス会館」のレジデント研究員となりました。1980年以降は写真に専念。1981年からはいくつかの美術学院の客員教授を務め、1995年から2010年にかけてはルーアン地方美術学院で教鞭を取っています。彼の写真は数多くの個展や何冊かの写真集で紹介されています。また、フランス国立現代美術基金(FNAC)やポンピドゥーセンターのほか、日本の京都国立近代美術館のコレクションにも収蔵されています。
ジャン・ローは2002年7月から10月にかけてヴィラ九条山に滞在。国際交流基金の援助を受けて2000年に開始された『庭園の帝国』と題されたシリーズを続行しました。この仕事はヴェルサイユ宮殿で撮影された『王の菜園百景』と題されたシリーズの東洋版と言えるもので、遠近法の規則に縛られない空間表現手段としての写真の問題を取り上げています。
ヴィラ九条山滞在中、ジャン・ローは京都のクラブ「メトロ」で撮影されたシリーズ『Diamonds are forever』にも取り組みました。アーティストグループ「ダムタイプ」の創始者・古橋悌二へのオマージュとして立ち上げられたこのクラブイベントは、能や歌舞伎に由来する異性装の伝統の延長線上にあり、芸術的引用、パフォーマンス、キャバレー、ポップカルチャーとニュー・バーレスクのごった煮となっています。