08 1月 リティ・パン Rithy Panh
フランスとカンボジアの映画監督リティ・パンはフランスの高等映画学院(IDHEC)を卒業。ドキュメンタリー作品の監督としてキャリアを始め、数々の賞を手にしました。1994年には初のフィクション作品『Neak Srê(水田の人々)』を監督し、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品。1998年には第2作となる長編フィクション『戦争の後の美しい夕べ』が同映画祭の「ある視点部門」に出品されました。
《被爆者たち》
この映画のプロジェクトは、痕跡をまったく残すことなく人間を消し去ることは不可能だという考えから生まれたもの。どんな壁も、どんなオブジェも一画の土地さえも、物語を持っています。被爆者との出会いと監督自身の過去や実体験を呼び覚ます彼らの証言を通じて、リティ・パンはこうした物語を縦横に交差させたいと考えています。そこには、人間だけでなく生きとし生きるものすべてを破壊する試みを証言する映像、言葉や眼差しが取り入れられます。しかし、痕跡は残るのです。明白で、現実的なものとして。自然さえもが語りかけます。植物のなかには異様な姿になるものもあれば、耐えしのぎ、傷跡を癒していくものもあります。