11 9月 セザール・ドゥバルグ César Debargue
イラストレーター兼エディターのセザール・ドゥバルグ(1997年パリ出身)は、国立高等装飾美術学校(ENSAD)と京都芸術大学で学びました。日本、フランス、イタリアの3か国で、ニューヨーク・タイムズ、ルイヴィトン、エルメス財団といった、メディア、ファッション、文化機関など、幅広い分野でデザインの経験を積みました。これらのプロジェクトと並行し、2018年には、温泉文化をめぐる個人プロジェクトおよびコラボレーションを開始。京都を中心に、日本の公衆浴場の一種である「銭湯」のリサーチを行なっています。
日本各地に存在し、様々な世代の人が足を運ぶ銭湯。同じ湯に浸かりながら心身を癒す場所でもあり、人々の交流の場でもあるのが銭湯です。初めて訪れた日本で出会ったのが、銭湯での「裸の付き合い」という公衆浴場文化。銭湯への理解を深めたいと考えたドゥバルグは、2022年に京都へ戻り、Nuages Flottants(浮雲)というプロジェクトを始動させました。銭湯が持つ社会的役割と、数々の困難に直面し廃れゆく現状を前に、銭湯の店主、従業員、常連客との数々の出会いの記録と証言を写真と共に収めたのが同プロジェクトです。
ヴィラ九条山滞在期間中は、日本列島の地域や村に残る銭湯や温泉の数々を巡り、日本の大衆文化の根幹を支える温泉を守ろうとする人々との出会いを目的としています。銭湯には、暖簾、銭湯壁画や銭湯絵など、職人と造形芸術による豊かな文化財が残っています。銭湯が、夢心地になれ、想像力を掻き立てられる空間であり続けられるのは、こういった文化財のおかげなのです。ヴィラでは、造形芸術を生み出す職人との出会いや、職人技を実際に目にすることで、自身のコンテンポラリーでありながらも、古典的な創作活動に活かしたいと考えています。さらに、日本の風呂文化である銭湯の記録、普及、継承にも貢献することを目指しています。
Crédits photos :
Portrait : © César Debargue & Romain Triboulet
© Luna Duchaufour-Lawrance & César Debargue, série Nuages Flottants, 2022
© César Debargue, carnets de Kyoto, 2022
© César Debargue, Umeyu towel, 2024
© César Debargue, carnets de Kyoto, 2022
© César Debargue, Umeyu Sento Noren, 2024