01 1月 フィリップ・ルイ Philippe Rouy
2002年以来、フィリップ・ルイはドキュメンタリー・エッセーとビデオアートの中間に位置する映像作品を制作。2011年3月から心血を注いで作り上げたのは、福島の原子力災害を巡るドキュメンタリー3部作:『4 bâtiments, face à la mer/海に面した4棟』 (2012年)、『Machine to Machine/マシンツーマシン』 (2013年)、『Fovea centralis/中心窩 』(2014年)。
日本の原子力産業自体によって撮影された映像をもとに制作された3部作は、国際映画祭FIDマルセイユ、国際ドキュメンタリー映画祭《シネマ・デュ・レエル》(パリ)、トリノ映画祭、ムンバイ映画祭、FICUNAM(メキシコ)などで紹介されました。それ以降、フィリップ・ルイの映画に関する仕事は本質的に日本を見据えたものとなっています。
ARCHIPEL, 6852 /『列島、6852』
新しいプロジェクトのために、フィリップ・ルイがヴィラ九条山で開始するのは、福島の原子力災害直後に設立された日本の映像作家集団《Ukishima Collective》についてのリサーチ。規格外の野心に突き動かされ、このグループは、将来起こるかも知れない原子力災害が日本を人が住めない国にしてしまう前に、日本列島の6,852の島々を撮影することを企てました。3年間に渡って精力的な活動を展開した《Ukishima Collective》は2014年に消滅し、その足跡はほとんど残っていません。
『列島、6852』は、半ば地下組織とも言えるこのグループの物語を、その野心を部分的に引き継ぐことで描き出す多元的な映像プロジェクト。映画は、風景とそれを貫く美しさや緊張を、それが私たちの眼差しから永遠に奪い去られてしまう前に、どのように捉えることができるのかを理解する試みとなります。
写真:
Portrait : DR
Philippe Rouy, Archipel 6852