04 1月 クエンツ・ガスパール & 森永泰弘 Gaspard Kuentz & Yasuhiro Morinaga
東京の映画学校「映画美学校」で学んだあと、ガスパール・クエンツは即興音楽シーンをテーマにしたドキュメンタリー映画第1作「We Don’t Care About Music Anyway」を監督。その後も、日本と東アジアに関する深い知識を武器に、映像人類学、フィクションと実験的アプローチを取り混ぜたハイブリッドなドキュメンタリー・プロジェクトを展開しています。「Kings of the Wind & Electric Queens」はインドのソネプール家畜祭の感覚的な潜入ドキュメントで、2014年度HotDocsドキュメンタリー国際映画祭で中編グランプリを受賞。日本の喧嘩祭りの身体的体験を語った過激な短編「渦 UZU」は2016年のアムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭(IDFA)やニヨン国際ドキュメンタリー映画祭《ヴィジョン・デュ・レエル》を始めとする数多くの映画祭で発表されました。
森永泰弘は音楽、映画、現代ダンス、美術や音楽出版の分野で数多くのプロジェクトを手掛けてきました。日本や東南アジアの農村部でのフィールド・レコーディングの手法は伝統音楽と宗教儀式に焦点を当てたもの。森永は自ら録音した音源を作曲活動だけでなく、インスタレーションの制作や自ら立ち上げたレーベル《Concrete》でのアルバム制作にも用いています。また、コラボレーション作品はカンヌ、ベネチアやベルリンの国際映画祭で発表されてきました。最新のプロジェクト「Marginal Gongs」は東南アジアにおけるゴングを巡る集中的フィールドワークに基づく舞台パフォーマンスとなっています。
『空はどこまでも続いとる』
「僕、ちっちゃいときにね、空はどこまで続いとんやってお祖母ちゃんに聞いたんですよ。山やから、細長い空でしょ。それしか知らんかったから。少し大きくなって山へ登って行ったんですよ。そしたら、空がまだ続いとるじゃないですか。山の向こうにもまだ。帰ってきて勝ち誇ってね、お祖母ちゃん、空ずっと続いとったで、って言うたら、「嘘やろ」って...」
この思い出を語るのは、元暴力団員、 K・K氏(69歳)
2012年に組織犯罪処罰法違反の罪で懲役19年を言い渡され、現在、北海道旭川刑務所で服役している。徳島県つるぎ町の貧しい少年時代から、大阪の愚連隊を経て、暴力団の幹部となったK・K氏。獄中で組織を引退した彼は、もう一度故郷の山に登る日を静かに待っている。『空はどこまでも続いとる』(仮題)は、そのある時は切なく、ある時は不思議な半生を軸に、彼が生きた場所をあらためて旅するドキュメンタリー映画である。
http://www.the-concrete.org/
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