01 9月 Pomme(ポム) Pomme
1996年生まれのクレール・ポメ、別名ポムはフランスのシンガーソングライーターでプロデューサー。2016年に最初のEP盤『En Cavale/逃走中』を発表したあと、その翌年にはファーストアルバム『À peu près/ほとんど』をリリース。このアルバムは批評家たちから高い評価を得、ゴールドディスクとなりました。全300公演を超えるコンサートツアーのあとに発表したセカンドアルバム『Les Failles/亀裂』はプラチナディスクの認定を受けています。ポムは第35回ヴィクトワール音楽賞で新人アルバム賞を受賞し、その翌年には最優秀女性アーティスト賞に輝きました。2022年のサードアルバム『consolation/慰め』に続き、2023年にはその改訂版『(Lot 2) consolation』を発表。
子供の頃から宮崎駿のアニメ映画を見てきたポムは、この日本人監督が取り上げるテーマの夢幻的な性質と深遠さの上にアーティストとしての個性を築いています。日本文化と日本語が大好きなポムは、2021年に『いつも何度でも』をカバーし、最近では、オランピア劇場でのコンサートに際し、そのオープニングアクトにフォーク・シンガーの青葉市子を招へいしています。
ポムのプロジェクトはオリジナル曲の創作。それは、『千と千尋の神隠し』から着想を得た曲で、最新アルバム『consolation』に収録されている『la rivière/川』の例に倣って、宮崎駿の映画の印象深いシーンから自由に着想したものとなります。ポムは道後温泉の浴場や鞆の浦の漁村など、宮崎やスタジオジブリの絵を生み出すもととなった実際の場所を訪れたいと思っています。探究したいと思っているテーマは子供時代。彼女のシャンソン『jardin/庭』や『1996』などの仕事にも見られる本質的なテーマです。
また、子供の頃に見た宮崎作品に大きな影響を与えている日本の植物相を始めとし、自然や生態系も探究したいと思っています。ポムは1980年代、90年代、2000年代(宮崎作品の年代)の風景と現在との違いを、人間や産業の存在がもたらした環境の悪化や破壊を取り上げることで、検討したいと考えています。楽曲ごとに、1980年代から2000年代にかけて用いられていた技術である銀塩写真で撮影された画像が添えられることになります。これと並行して、ポムは作曲のプロセスを巡り、導きの糸として、クロッキーや写真を取り混ぜた創作ノートを考案したいと思っています。
Crédits photos :
– ©Lian Benoît