01 1月 ジュリー・ヴァシェ Julie Vacher

ジュリー・ヴァシェは人間同士の関係、人間と人間以外のものとの関係、生物とその環境との関係において作用する変化のプロセスを演出します。リヨン国立高等美術学院で学んだあと、2018年に国立現代アートスタジオ「ル・フレノワ」を卒業したジュリー・ヴァシェは、執筆作業を通じて言語活動とそのオラリティー(音声の文化)を探究しています。
エコロジーを巡る想像の領域、衛生にまつわる幻想や仕事の世界における神話を取り上げた物語は、異質な要素を取り込みながらも現実に根ざした彼女の仕事を映し出しています。ジュリー・ヴァシェの仕事は、音、ビデオやウェブの構築メカニズムを盛り込んだもので、パリ国際現代アートフェア(FIAC)の関連イベント《シネフェメール》、ポワトゥー・シャラント地方現代美術基金(FRAC)、モンベリアール地方現代美術センター(CRAC)、ヴァランスのビエンナーレ・ミュージック・アン・セーヌ、国際映画祭FIDマルセイユ、台北デジタルアートフェスティバルやカリフォルニアのアメリカン・ドキュメンタリー映画祭などで紹介されてきました。
Le banquet des activités humaines exigeant un effort soutenu / 不断の努力を要求する人間活動の饗宴
テクノロジーとサウンドポエトリー(音響詩)の交差する地点に位置するヴィラ九条山でのリサーチ・プロジェクトは、聴くための特殊装置の内部で話し言葉を用いた演出を提案するもの。そこで展開される物語では、いずれも女性の企業管理職、セラピスト、アナウンサー、暗号研究者、翻訳家が登場し、それぞれの職業に特有の言葉遣いが探究されます。これら5人の女性に加えて物語に登場するのは人工知能(AI)。最初のインスタレーションのあと、日本での仕事の焦点となるのは(スピーカーやスクリーンを用い)機械的に発せられる音声と男女の俳優とを対峙させること。
この音声の饗宴の構想にあたっては、計画されているポリフォニー的な装置におけると同様に、ジュリー・ヴァシェは能楽における身体と音声の二重化および演出家・宮城聰の表現方法と深く関わりを持つことになります。日常レベルでは、リサーチの一部は日本の音風景に特徴的な自動音声も取り上げ、拾い集められた音の日記が綴られることになります。
写真 :
Portrait : DR
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Installation sonore et lumineuse (5 canaux), 10min, socles, moquette, câbles, Exposition “Comme les mots me paraissaient exsangues…”La Générale, Paris, FR, 2019, crédit Julie Vacher
– Les Parlants et les Écoutants (détail)
Installation sonore (9 canaux) et lumineuse (10 canaux), assises, 27 min, 2018, Exposition “Panorama 20”, Le Fresnoy, FR, 2018, crédit Julie Vacher
– La Mytho : studio training
Installation immersive : multimédia (4 canaux sonores et 1 écran), vinyl coloré, tissu et câbles, 10 min, Villa Belleville, Paris, FR, 2019, crédit Julie Vacher
– Plat de Résistance
Création Radiophonique, stéréo, 27 min, 2018, Production France Culture, Creation on air, Sound Factory, crédit Julie Vacher
– La chambre d’ouïe
Expérience d’écoute en binaural et création web, 2019, Avec le soutien à un projet artistique du Centre national des arts plastiques (CNAP) et Le Fresnoy-Studio National des Arts Contemporains, crédit Julie Vacher
Julie Vacher / ADAGP 2021