02 4月 ナッシュ/ アンヌ=マリ・ヴァン Nach / Anne-Marie Van
アンヌ=マリ・ヴァンはクランプ(Krump)とコンテンポラリーダンスの踊り手であり振付家。ナッシュ(Nach)というアーティスト名で知られている彼女は、感受性豊かなビジョンを持ってクランプダンスに取り組んでいます。その経歴を飾る様々な出会いを通して自らの手法を作り上げており、例えば、エディ・マーレム、, ビントゥー・ダンベレやマルセル・ボゾネとの出会いがあります。アンヌ=マリ・ヴァンは現在、『Cellule/セル』と題された初めてのソロ作品を創作中。飯村隆彦監督の短編作品『Ai (Love)』から着想を得て、この振り付け作品を、欲望、官能性、怪物じみたもの、御し難いものといったコンセプトを巡り自分自信を貫くとともに、動揺させるものの現状確認として構想しています。
昇る陽
谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』を読んで、アーティストであるナッシュは日本の明暗の芸術とフランスのクランピング・ダンサーのアプローチの間に類似性を見出しています。「われわれ東洋人は何でもない所に陰翳を生ぜしめて、美を創造するのである」
レジデンスにおいては、ナッシュはリサーチと創作の仕事を進めることになります。つまり、日本文化における儀式を観察・体験することで振付とアーティストとしての営みを豊かにしたいと考えています。これを行うにあたっては、様々な分野のアーティストとの接触を通してプロジェクトを発展させ、能と歌舞伎、都市文化、オルタナティブ・カルチャーや暗黒舞踏から着想を得たいと考えています。振付作品を創作するとともに、クランプダンスにおける、また日本の文化的活動における女性の地位を問い掛けることで、自分のプロジェクトをエロチシズム、欲望、自信の獲得といったテーマに明確に方向付けたいと考えています。 また、こうした出会いと発見の道筋を通してビデオ作品の構想も温めて行きたいと思っています。