02 6月 ラファエル・ライン&アンジェラ・デタニコ Angela Detanico & Rafael Lain
ブラジル生まれのラファエル・ラインとアンジェラ・デタニコは10年近く前から一緒に仕事をしています。美術、詩とグラフィックアートを組み合わせて用いる造形作家である2人は、言葉を造形的・音響的・視覚的な形に作り変える試みを行っています。アルファベット文字の代わりに日常生活に由来するフォルムを用いることで、新しいタイポグラフィが作り出されます。展示空間において演出されることで、日常的なモノは文字にまったく新しい物質性を付与し、言語の象徴的役割に関する考察を促します。2人は2006年の越後妻有アートトリエンーレに参加し、それ以来、その作品は世界各地の数多くのギャラリーや美術館で紹介されています。例えば、ザッキン美術館(2007年)、ジュ・ド・ポーム美術館(2008年)や京都芸術センター(2013年)などです。
ラファエル・ラインとアンジェラ・デタニコはヴィラ九条山でのレジデンス中もこうした探求を続けることになります。コンセプチュアル・アートとコンクリート・ポエトリー(具体詩)の双方の継承者である2人は、日本の詩人と1950年代から60年代にかけてヨーロッパやブラジルで盛んだったコンクリート・アートとの関係に関心を抱いています。それは1964年に東京で開催された「具体詩展」で頂点を迎えた関係です。図像的・象徴的文字や記号が都市空間において重要な位置を占めている日本に滞在することで、文字が言語であると同時にイメージであり、コンセプトであると同時に実体である2人の仕事の新たな1ページが開かれることになります。