02 6月 ナターシャ・ニジックと䑓丸謙 Natacha Nisic et Ken Daimaru
まずパリ国立高等装飾芸術学院で学んだナターシャ・ニジックは、その後、ベルリンのドイツ映画・テレビ・アカデミーに続いてパリのフランス国立映像音響芸術学院(Fémis)で学業を続けました。イメージの根拠と起源を問いかける数多くの映画を、様々なメディア(スーパー8、16mm、ビデオ、写真)を通して制作しています。彼女の仕事は記憶の概念をイメージを通して問いかけるものとなっています。記憶は、その証拠としての価値とその消滅の間で緊張関係に置かれます。ニジックの作品はドイツ、スペイン、日本、韓国、カナダ、アルゼンチンなど多くの国で上映され、独仏共同出資のテレビ局「アルテ」などでも放映されています。
䑓丸謙は2003年以来、パリで研究活動に携わっています。フランス国立社会科学高等研究院日仏財団の研究員です。
ヴィラ九条山におけるデュオ・プロジェクトのタイトルは「Osoresan」。つまり、本州の北端にあり、日本人が「地獄の入口」と呼んでいる地名から取られています。このプロジェクトは映像による物語であり、この地域の場所と住民が背景と登場人物を織りなします。この物語では、3つの軸が倒立したメタファーとして呼応し合います。第1の軸は恐山で、そこでは生者はイタコを介して死者と話そうと試みます。第2の軸は永遠を見出すため、死の働きを手なずけ、即身仏となった僧侶の日記です。そして、第3の軸は恐山の真向かいにあり、何も生産していないと見える工場です。そこには、大きなプールと海の中に、自発的な毒物使用か永遠の死であるかのように、廃棄物が蓄積されています。