02 6月 ジャン=セバスチャン・ラグランジュ Jean-Sébastien Lagrange
ジャン=セバスチャン・ラグランジュは応用美術の名門校エコール・ブールに続いて、国立高等工業デザイン学院(ENSCI)を卒業。2005年にはクラウディオ・コルッチのデザイン事務所で働くため、東京に滞在する機会を得ました。これまでの実績としては、2009年にフランス国立セーヴル陶磁器製作所のために手掛けた展示会場デザイン、パリ国際芸術都市のアーティスト・イン・レジデンス施設の改装などがあります。2010年には、聖母被昇天修道会チャペルの家具・調度品の設計やフランス文化省庁舎のショーウインドーの飾り付けを手掛けたたほか、2014年にはジュネーブでの国際高級腕時計見本市(SIHH)の展示用ディスプレイをデザインしています。2010年には《アトリエJ.SL》を設立し、多分野横断的な共同プロジェクトを巡る開かれたデザイン活動の場としています。
素材加工における経済性の問題を気に掛けているジャン=セバスチャン・ラグランジュは、ヴィラ九条山において、紙を巡るリサーチ活動に取り組みたいと考えています。これに当たって、素材の直感的で経験的な取り扱いに基づく仕事が進められることになります。最小限の素材を環境にできるだけ影響を与えない形で用いることを目指す《フルーガル・デザイン(つましいデザイン)》という自らの仕事の進め方の延長線上において関心を抱いているのは、日本文化に見られる紙と折りの技術の多用であり、特に神道における紙の伝統的な使い方です。ジャン=セバスチャン・ラグランジュは自分自身の仕事のやり方を、素材をオブジェへといとも簡単に移行させる日本の洗練された制作プロセスと突き合わせたいと考えています。