02 6月 小野規&ジュリアン・ギナン Tadashi Ono & Julien Guinand
アルルのフランス国立高等写真学院を卒業した小野規は2011年から京都造形芸術大学で現代美術・写真コースを担当しています。その仕事は、人間と環境の相互作用から生まれた複雑な空間を表象することで、建築、環境と歴史の関係を問い掛けるものとなっています。作品はフランス国立図書館(BNF)や東京国立近代美術館で発表されています。また、2007年からは東南アジアでの写真によるリサーチプロジェクトを行っているほか、ケ・ブランリ美術館の写真ビエンナーレ《Photoquai 2009》ではギュレーターも務めました。
ジュリアン・ギナンはアルルのフランス国立高等写真学院を卒業。その仕事は折あるごとにフランス国内外で紹介されています。リヨン国立高等美術学院で教鞭を取っているほか、ブルー写真学院の運営にも携わっています。自然空間において展開される勢力関係に関心を寄せ、自らの仕事を時間性の証人として、身辺を取り巻く世界との関係の表現として捉えています。
小野規とジュリアン・ギナンは外部空間の捉え方に見られる日本特有の側面に関するリサーチを行うことになります。その出発点となるのは、繰り返し発生する自然災害に対応するため行なわれている日本の自然景観の大規模整備事業が、巧みに考え抜かれた建築を生み出しているという事実の確認です。2人はそれぞれ日本のひとつの地方を探訪することになります。小野規が赴く東北は2011年の大地震の被災地であり、文化的な威光はあまり大きくありません。ジュリアン・ギナンが赴く熊野は自然豊かな聖地であり、日本最大級の巡礼路のひとつが横切っています。2人はそれぞれの体験と写真家としての仕事を持ち寄り、突き合せることになります。