02 4月 オリヴィア・ローゼンタール Olivia Rosenthal
オリヴィア・ローゼンタールは女流作家で、小説と戯曲を手掛けています。『Toutes les femmes sont des aliens/女性はすべてエイリアン』 (ヴェルティカル社、2016年)、『Mécanismes de survie en milieu hostile/極限環境での生き残りメカニズム』(ヴェルティカル社、2014)など10数冊の小説を発表しています。『Que font les rennes après Noël ? /クリスマスのあとトナカイは何をする?』(ヴェルティカル社、2010年)ではリーヴル・アンテール賞を、『On n’est pas là pour disparaître/ここにいるのは、いなくなるためではない』(ヴェルティカル社、2007年)ではフランス郵政公社財団・ウェプレール賞を受賞。また、戯曲も手掛けるとともに、公共空間を用いた各種作品の発表も行なっています(ポスター、フレスコ、音響作品)。これらは彼女にとって、文学が取り得る形態を刷新する方法となっています。
見えない恐怖
1995年に東京の地下鉄で起こったサリンガスによるテロ事件について書くことは、テロ行為が私たちの生活に及ぼす影響を考察するひとつの方法となります。それは、事実を検討するというよりも、これだけの規模の事件が直接の被害者ではなかった人たちに残すことのある影響や余韻、目に見えることも、見えないこともある痕跡を取り上げるものです。私たちは日常的にこうした脅威に晒されてはいるものの、現代の恐怖政治の中枢からは遠く離れた調査地域と時代を選ぶことで、これらとは距離を置きながら、フィクションにより、テロの頻発を語る別の言葉を見いだすことができます。