02 6月 ミレーヌ・ブノワ Mylène Benoît
パリ国立高等美術学院(ENSBA)で学んだあと、ロンドンで「コンテンポラリー・メディア・プラクティス」を修めたミレーヌ・ブノワはフランス北部トゥルコワンにある国立現代アートスタジオ《ル・フレノワ》の卒業生でもあり、美術家、振付家、研究者として活動しています。ル・フレノワでの最終学年には、『Effets personnels/身の回り品』(2004年)と題された3人のダンサーのためのビデオ3部作を制作。その後、ダンスカンパニー《コントゥール・プログレシフ》を設立。これは多様な分野出身の演技者の参加により形成された変幻自在なプロジェクトとなっています。振付家としては、2007年にビデオゲームに着想を得た3人の女性ダンサーのための作品『Effet papillon/バタフライ効果』を、2014/2015年にはパリの芸術文化センター《ゲテ・リリック》の招待アーティストとして『Les danses augmentées/拡張ダンス』と題されたシリーズを同センターで発表。2016年1月からは3年間の契約でル・アーヴル国立振付センター《ル・ファール》のアソシエート・アーティストを務めています。
ヴィラ九条山でのレジデンス時にミレーヌ・ブノワが行いたいと考えているリサーチ・振付プロジェクトは『La maladresse/ぎこちなさ』と題され、人間が無意識に行う動きに関心を寄せたものとなっています。この無意思の動作の詩学は様々な社会的規範への適応が異なった身体言語を引き出す日仏の文化の対比を通して充実が図られます。ミレーヌ・ブノワは、日本の研究者やアーティストとのコンタクトを通してプロジェクトを発展させたいと考えています。なかでも茶道や歌舞伎に親しむことで、そのきわめて規範化された所作を通じて、日本における身体や空間との関わり方の理解が進められます。