02 6月 フランソワ=グザヴィエ・リシャール François-Xavier Richard
アンジェ国立高等美術学院を卒業したフランソワ=グザヴィエ・リシャールは1999年まで、古典・現代演劇の演出を手がけていました。この年、手刷り木版壁紙の制作を専業とする《アトリエ・ドルファール》を設立。そして、18世紀から19世紀の有名製造所の職人技を手本としつつ、こうした伝統的技法に独自の視点を導入しました。こうした仕事の最大の課題は、文化財の保存を超えて、室内装飾・建築における紙の地位に関するリサーチを通して、新しい期待と伝統の豊かさを結び合わせることにあります。フランソワ=グザヴィエ・リシャールは、紙という素材を用いた作品の制作のため、ジャン=ミシェル・オトニエル、ロバート・スタッドラーやバンジャマン・グランドルジュなど数多くのアーティストとのコラボレーションを行っています。
ユネスコの無形文化遺産に登録された和紙は、今日の日本において、ヨーロッパの手刷り木版壁紙と同じ大きな変化を経験し、職人技と工業生産の間で、文書の媒体から包装材や建築材料に到るまで多様な形で用いられています。ヴィラ九条山でのレジデンスにおいて、フランソワ=グザヴィエ・リシャールが提案するのは『Espace en mouvement/動いている空間』と題されたプロジェクトで、一連のパフォーマンスにおいて身体と空間との対話を図りたいと考えています。この仕事において、彼が関心を寄せているのは日本の神話であり、それが共同体の想像の領域にもたらした影響です。