30 12月 バディ・ダルル Bady Dalloul
1986年にパリで生まれたシリア系フランス人のバディ・ダルルは、2015年に審査員からの高評価を得てパリ国立高等美術学院を卒業。歴史の交差路を巡る研究活動においては、政治的・社会学的・歴史的側面がその仕事の中心に据えられています。デッサン、ビデオ映像やオブジェにより、バディ・ダルルは想像上のものと現実世界とを対話させ、歴史の記述論理さえも問い直しています。
バディ・ダルルの作品はポンピドゥーセンター=国立近代美術館、ヴァル・ド・マルヌ現代美術館(Mac/Val)、イル=ド=フランス地域圏現代美術基金《Le Plateau》、アラブ世界研究所やカディスト・アート・ファウンデーションの常設コレクションに収蔵されています。2017年には、「アラブ現代創作のためのアラブ世界研究所友の会賞」を受賞。バディ・ダルルの仕事はフランス国立図書館(BNF)の収蔵品を用いてルーヴル・アブダビで開催予定の展覧会でも取り上げられることになっています。
Mon Pays Imaginaire / 想像上の私の祖国
2011年以来、何百万人ものシリア人が祖国を離れ、他国に移り住まなければならなくなりました。こうした移民危機の状況において、日本政府は、国際協力機構(JICA)を通して、若いシリア人男女150名を日本に受け入れることを2016年に発表しました。その目的は学業を続ける機会と新しい生活環境を提供するとともに、将来のシリア復興に貢献すること。
レジデンス期間中、バディ・ダルルは、日本に滞在している何名かのシリア人と一緒にリサーチ活動に取り組むにあたり、彼らが辿った個人的な道筋、新しい環境の発見や私的・社会的・文化的な混乱状況を、自分自身の立場と照らし合わせながら追跡します。この映像作品を中心として、避難先を求めた遠い外国を発見するプロセスと、それに続く受入国への統合のプロセスの精緻な状況把握を可能にする一連の作品が展開されることになります。
2021年度ヴィラ九条山のレジデントアーティストであるバディ・ ダルルは、TOKAS – TOKYO ARTS AND SPACEに招聘滞在する。東京でのリサーチを行うための本レジデンスは、TOKAS – TOKYO ARTS AND SPACEとヴィラ九条山のパートナーシップにより実現。
Bady Dalloul, 2021 laureate of Villa Kujoyama is hosted by TOKAS – TOKYO ARTS AND SPACE during his research conducted in Tokyo. This stay is realized thanks to the partnership between TOKAS – TOKYO ARTS AND SPACE and Villa Kujoyama.
Crédits photos :
Bady Dalloul_discussion between gentlemen_video 9min30_2016
Bady Dalloul_scrapbook_Installation livre trouvé, collages, écritures_video 4_m_dimensions variables_2016
Bady Dalloul_the king of the system_encre sur jeton en os et resine, boite en bois, dimensions variables_2019
Bady Dalloul_light_credit Aurélien Mole – exhibition view of Notre monde brûle – Palais de Tokyo_2020