30 12月 ナターシャ・プトゥー&サシャ・ウルカドゥ Natacha Poutoux & Sacha Hourcade
フランス国立高等工業デザイン学院(ENSCI – Les Ateliers)の工業デザイン科を審査員からの高評価を得て2016年と2017年にそれぞれ卒業したサシャ・ウカルドゥとナターシャ・プトゥーは、その協力関係をデザインスタジオ《natacha & sacha》として具体化。デザインとリサーチを専門とする創意工夫に富んだスタジオは、ライフスタイルと消費行動に関する新たなニーズに応えるために構想されたもので、現在の生産方式を作り変えることになる未来の製品の探求が行われています。自分たちのスタジオを設立するに先立って、ナターシャ・プトゥーはミュンヘンのステファン・ディーツの事務所に続いてロナン&エルワン・ブルレックの事務所でデザインの修行を積んだ一方、サシャ・ウルカルドゥはクラウザー & カーペンターに続いてインテリアデザイナーのインディア・マダヴィのもとでキャリアをスタート。
こうした経験の成果として見出すことができるのが、家電製品デザインに宿っている豊かなノウハウと多様な技法。2人のデザイナーにとって問題なのは、デザインがあまりにも軽視されてきた分野にデザインを持ち込むことで、造形的なクオリティと将来のユーザーの理解を呼び覚ます想像力を通して、日常使いの製品の面目を一新させること。
2019年からパリ市の創作支援施設《アトリエ・ド・パリ》のレジデントとなった2人は、これと同じ年、パリ市創作グランプリの新人賞を獲得。こうした目覚ましい活躍は、国際見本市「メゾン&オブジェ」で新進気鋭のデザイナーに与えられる《Rising Talent》賞にノミネートされた2020年も衰えを見せていません。
[ Passerelles ] de nouveaux territoires à explorer entre savoir-faire traditionnels et nouvelles technologies /
[ passerelles / パスレル ] :伝統的ノウハウと新しいテクノロジーとの間で探求すべき新しい領域をつなぐ架け橋
ヴィラ九条山でのレジデンス期間中、ナターシャ・プトゥーとサシャ・ウルカドゥが専念することになるのは、テクノロジーを駆使した製品のデザインにおいて、責任感と持続可能性をさらに高めた新しい開発プロトコルを見出すこと。既に2018年、2人組は日本の生活様式から着想を得たホットカーペットを開発。この製品は室内よりもむしろ身体そのものを暖めることで、生活空間の中で暖を取るゾーンを局所化したものとなっています。
日本で進められる2人の新規プロジェクトは、日本の文化遺産から着想を得た新たな組立て方の実験、モノの収集や日本の職人との出会いを通して実現されることになります。それは、電子部品の分解を行いやすくし、その修理や共存を改善するための革新的な方法を目指すもので、ものづくりのノウハウの継承が約束されることになります。こうしたプロセスにおいて最重要となるのは、環境責任に対応した新しい天然素材の探求(イネ、藍染めのアルミや箱根名物の温泉水による加熱調理を応用して着色したアルミなどをベースにした素材)。こうしたリサーチは最終的には、新たに見直された日本の伝統的ノウハウを活用した工業製品として具体化されることになります。
Crédits photos :
Natacha Poutoux et Sacha Hourcade_portrait_crédit Romain Robine
Natacha et Sacha_METIS_Serveur de données en céramique
Natacha et Sacha_TRACES_Tapis chauffant en laine
Natacha et Sacha_METIS_Bouilloire électrique en porcelaine
Natacha et Sacha_LAMPE_HILLA_lampe vide poche en porcelaine et verre
Natacha et Sacha_BRIQUES_Radiateur suspendu en brique réfractaire