26 12月 ナタナエル・ラボワソン Nathanaëlle Raboisson
16年前から、ナタナエル・ラボワソンはミュージック・コンクレートのレパートリーを演奏。これにより、このスタジオ音楽(録音された音の芸術)を感受性と音楽性豊かにコンサート形式で展開しています。
音楽制作グループ《Motus》の一員であり、フェスティバル《Futura》におけるアクースマティック音楽の演奏者であるナタナエル・ラボワソンは、500曲以上の作品を演奏し、その内の50曲以上は世界初演となっており、古典的なレパートリーから若手作家の曲まで取り上げています。
フランスでのコンサート(パレ・ド・トーキョー、デジタル創作センター《ル・キューブ》、現代アートセンター《ラ・フェルム・デュ・ビュイソン》、国立音楽創作センター《ラ・ミューズ・アン・シルキュイ》など)や国外でのコンサート(フィレンツェの電子音楽研究・制作・教育センター《Tempo Reale》やアンスティチュ・フランセ関西など)は、彼女の教育・出版活動やコンサート、パフォーミング・アーツやマルチメディア・インスタレーションのための作曲活動と密接に結びついたものです。
音楽学者としては、ナタナエル・ラボワソンは音楽制作グループ《Motus》の研究ラボ《MotusLab》を率い、フランス音楽学研究所(IReMus)の準会員でもあります。
アクースモニウムの演奏における美学的課題:フランスと日本におけるコンサートの行い方
ヴィラ九条山では、ナタナエル・ラボワソンは日本の2つのスピーカー・オーケストラの演奏家の音楽技法の分析を中心とした研究プロジェクトに取り組みます。
アクースモニウムとも呼ばれるスピーカー・オーケストラは観客の周囲や真っ只中に置かれた一連のスピーカーボックスです。全体は操作卓に向かう演奏家により直接制御され、作品の解釈を通して、音楽的言説の様々な側面が浮かび上がります。このリサーチはモーション・キャプチャー、ビデオ録画、プロやアマチュアの演奏家のインタビューの比較分析やグラフィック・トランスリクプションの分析を駆使して行われます。
この日仏プロジェクトのおかげで、2015年からフランスで開発されてきた研究ツールとプロトコルが、アーティストや研究者との協力により、日本の装置に適応され、レジデンス終了後も彼らがこの研究を継続することになります。