29 9月 ジャン=バティスト・デル・アモ Jean-Baptiste del Amo
ジャン=バティスト・デル・アモは小説家で、2006年には、短編小説『Ne rien faire(仮題:何もしない)』でフランス語若手作家賞を受賞しています。この小説はアフリカでHIV撲滅に取り組む非営利団体での経験に基づき書かれたものです。2008年には長編処女作『Une éducation libertine(仮題:放蕩教育)』がガリマール社から出版され、2009年度のゴンクール処女長編賞に輝いています。これと同じ年、アカデミー・フランセーズは彼にフランソワ・モーリアック賞を授与しています。ジャン=バティスト・デル・アモは2010年から11年にかけてヴィラ・メディチに滞在。ガリマール社からは、さらに2冊の長編小説『Le sel(仮題:塩)』(2012)と『Pornographia(仮題:ポルノグラフィア)』(2013)を刊行しています。
京都に色濃く残る禅宗の伝統を踏まえ、ジャン=バティスト・デル・アモのプロジェクトは日本文学における身体、死、エロチシズムや暴力との関係を探るものでした。ところが、ある能面師と出会ったことで、リサーチ・プロジェクトの方向性を見直し、滞在期間中、能面の制作を学ぶことが主眼となりました。技術の習得と能に親しむことに留まらず、この仕事は芸術活動における日仏のアプローチの違い、ある種の創作分野におけるイノベーションの役割や伝統の重みを巡る様々な考察の基礎となりました。
レジデンス期間中、ジャン=バティスト・デル・アモはヴィラ九条山で漫画家の市場大介との対談を行ったほか、ミュージシャンのセバスチャン・グランガンブの演奏を交えた朗読を京都と横浜で行いました。