02 4月 シモン・ゴーシェ Simon Gauchet
シモン・ゴーシェは俳優、演出家にして美術家。ブルターニュ国立高等演劇学院(TNB)を2012年に卒業したゴーシェは、演劇集団《欧州若手実験劇場(Jeune Théâtre-Laboratoire Européen)》 と《エコール・パラレル・イマジネール(École Parallèle Imaginaire)》の共同設立者です。また、私たちの想像力を問いかける独特の創作プロセスを開拓することで、様々なプロジェクトを立案しています。ユートピア島を探して実際に筏で冒険旅行に出かける『Le Radeau Utopique/ユートピアの筏』では公共空間を、『L’expérience du feu/火の体験 』や『 Projet Apocalyptique/黙示録的プロジェクト』では劇場を、『Le Musée Recopié/模写された美術館 』や『Faire Campagne/野戦』では美術館を用いたプロジェクトを実施。俳優としては、エリック・ラカスカード、スタニスラス・ノルデイ、フランソワ・タンギー、トマ・ジョリ、バンジャマン・ラザールやベルナール・ソベルなどの演出家と一緒に仕事をしています。
樹木の経験
2008年のこと、シモン・ゴーシェは日本で金剛流の若手能楽師・宇高竜成と出会い、1ヶ月の間、長い歴史を誇るこの伝統演劇の手ほどきを受けました。フランスに戻らなければならなくなった時、日本の師匠に謝礼を支払おうとすると、宇高はこれを断り、その代わりにゴーシェにこう頼みました。いつか日本に戻ってきて、西洋の演劇の真髄を教えて欲しいと。《樹木の劇場》プロジェクトはこの話の続きを紡ぎ出すもので、伝承・継承という概念自体を巡るリサーチ空間を生み出します。舞台は日仏双方の文化がお互いを探求し、問い掛ける場となります。能舞台の背景に据えられた松の木がこうした交流と身体のぶつかり合いの証人となります。