30 12月 クリコー・クーシアン Krikor Kouchian
独学の作曲家・演奏家として25年前から活動しているクリコー・クーシアンはパリ国立高等音楽院で2007年までアクースマティック音楽とコンピューター支援作曲(CAC)を専攻。 パフォーマンスや即興演奏におけるその才能ゆえに、世界各地の電子音楽フェスティバル(Mutek, Ars Electronica, Villette Soniqueなど)で注目の存在となってきました。50枚を超えるレコードを発表し、10枚近くのアルバムがL.I.E.S. Recordsをはじめとするフランス、英国や日本のレーベルからリリースされ、そのうちのいくつかは映画のサントラ集です。
ハイブリッドなクリエーティビティに加え、クリコー・クーシアンは他の造形作家やデザイナーのためのテクニカルな仕事(例えば、振付家ダミアン・ジャレとのコラボレーションによるデザイナー髙橋盾の2020-21年秋冬コレクションのショー「Fallen Man」)を「サーキット・ベンディング」(パフォーマンス時に使用する電子機器の改造)のリサーチと結び合わせています。これまでに何度も協力してきたAbleton社のプラットフォームのために無償のビジュアルデバイスを開発してきたクリコー・クーシアンの専門的能力と実験は、フランスのOto Machinesや日本のKORGやヤマハといったブランドからも高く評価されています。
Kunio No Tamashii / 邦男の魂
京都滞在期間中、クリコー・クーシアンが取り組むのは「邦男の魂」と題されたプロジェクト。これは、伝統楽器である琵琶をヴィラ九条山の館内でエレクトロニック・ハッキングと対峙させる、3部構成のリサーチプロセスとなります。この《オーグメンテッド(拡張された)》琵琶において非可聴音を増幅し、レジデンス施設の独特な建築の音響空間を検討することにより、クリコー・クーシアンが目指すのは楽器法の伝統的テクニックを周囲の環境中にある電磁波の目に見えない世界とフュージョンさせること。第2段階では、古典的なエクリチュールから派生する演奏法とこの新しい没入型楽器のための作品が書かれることになります。
最終的には、このツールの完全にバーチャルなバージョンを作り上げることで、建築のサウンドスケープがデジタル世界に転写されることになります。この音響フィンガープリント技術によって提供されることになるのは、この楽器とこの新しいデジタル空間を誰もが自分の作曲や録音のために利用できる可能性です。
Crédits photos :
Krikor Kouchian_45t BIG LOVE Records Tokyo_2020
Krikor Kouchian_Album Pacific Alley L.I.E.S. Record_2017
Krikor Kouchian_Audio VIdeo LIVE SETUP-CentreGPompidou_2019
Krikor Kouchian_Live@Francetelevision_2016
Krikor Kouchian_Live@FUSIONFESTIVAL_2018
Krikor Kouchian_Redbullmusic 2018 Belleville Studio_credit Sarah Bastin