02 6月 アラン・ゴミと伊藤郁女 Alain Gomis et Kaori Ito
アラン・ゴミはフランス・セネガル両国籍の映画監督。1993年にパリ・ソルボンヌ大学で映画研究の修士号を取得しました。初監督作品『L’Afrance(仮題:アフランス) 』は2002年ロカルノ国際映画祭で銀豹賞を受賞。第2作『Andalucia(邦題:アンダルシア)』は2008年ヴェネチア国際映画祭に出品され、第3作『Tey (Aujourd’hui) (仮題:今日)』は2013年の第62回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に選ばれました。また、この作品はワガドゥグ全アフリカ映画祭でも受賞し、アカデミー賞にはセネガル代表として出品されました。
伊藤郁女は東京に生まれ、そこでクラシックバレーを学びました。18才の時、米国に渡り、ニューヨーク州立大学パーチェース校ダンス科に入学し、グラハム、カニングハム、リモンやホートンのテクニックを学びました。また、アルヴィン・エイリー・ダンスシアターでも学び、ナイニ・チェン・ダンスカンパニーと一緒に仕事をしたり、ダンスシアター「ジョイス・ソーホー」で踊ったりしています。2003年から2005年にかけては、フィリップ・ドゥクフレの演出作品『Iris』で主役を務めたほか、ヴェロニク・ケイとも仕事をし、ダンスカンパニー「バレエ・プレルジョカージュ」に入団しています。2006年には, ジェイムズ・ティエレの振付で踊り、2008年にはシディ・ラビ・シャカウイの助手を務めるとともに、 その振り付けでギイ・カシエース演出のオペラ作品『眠れる美女』にソリストとして出演。これと同じ年、ローザンヌ・ヴィディ劇場で初めての振付作品を発表。2009年には、第2作『 SoloS』をマルセイユ舞台芸術センターに続いて、2012年リヨン・ビエンナーレで上演しています。アラン・プラテルが主宰するダンスカンパニーで踊り、協力関係を築いたあと、第4作『Asobi』を制作。2014年にはアヴィニオン演劇祭でオリヴィエ・マルタン=サヴランと共演、この作品はパリの夏を彩るイベント「Festival Paris quartier d’été/フェスティヴァル・パリ・カルティエ・デテ)」で再演されました。
ヴィラ九条山でのデュオ・プロジェクトは『Naw gi』と題された映像作品で、このタイトルはウォロフ語で「息吹」を意味しています。この映画は伊藤郁女のポートレートであり、旅立ったあと向き合うことを常に避けてきた生まれ故郷への回帰において、このダンサーを自分自身と直面させることになります。ダンスの世界で成功と高い評価を得てきた伊藤郁女は、このプロジェクトを通して、アイデンティティを再構成し、今日の日本における自分の居場所を見出す力を模索することになります。