02 6月 ダミアン・オドゥール Damien Odoul
映画監督のダミアン・オドゥールは短編・長編フィクションのほか、ドキュメンタリー映画を手掛けています。作品としては、2001年ヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞と国際映画批評家連盟(FIPRESCI)賞を獲得した第2作『Le Souffle/息づかい』(2000年)や2015年ジャン・ヴィゴ賞を獲得した『La peur/恐怖』(2015年)などがあります。また、詩人としても活動しており、アヴィニオン演劇祭で『Poèmes du milieu/真ん中の詩』を自ら朗読し、これはラジオ局「フランス・キュルチュール」でも放送されました。2007年にはビデオと写真を用いたインスタレーション『Virtual fight et lymphatique/バーチャルファイトと粘液質』をパリのギャラリーカメル・メヌールで発表。2013年には《SYLVART》の設立に参加。この実験的で革新的なプロジェクトでは、知的障害のあるアーティストたちを招いて、アール・ブリュットと環境を結びつけたユニークな創作体験が行われています。
ダミアン・オドゥールのリサーチ・プロジェクトは『Oneiros ou l’homme qui revient/オニロス、あるいは帰ってきた男』と題され、池澤夏樹の短編小説(『帰ってきた男』、1990年)に着想を得たものです。この短編小説はフランス人と日本人の2人の男の奇妙な内面の旅を描いたもので、2人は謎の遺跡を調査する学術ミッションのため、前人未到の地に派遣されます。池澤とは10年を超える付き合いがあるダミアン・オドゥールは、創作ドキュメンタリーと音と映像によるインスタレーションを組み合わせたプロジェクトを実現したいと考えています。人間の世界との関わり方、超越性や死を巡る問い掛けが、このフィクションと現実との間に位置し、幻想的なイメージと日本のアーティストや科学者のインタビューを交えた変幻自在な作品を通して追求されることになります。