02 6月 ベルトラン・プラーヌ Bertrand Planes
ベルトラン・プラーヌは国立高等装飾芸術学院とグルノーブル高等美術学院を卒業、ロンドンのキャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツでも学びました。その仕事はパリのニュー・ギャラリーとジュネーブのローランス・ベルナール・ギャラリーで取り扱われています。数多くの国際展に出展しており、例えばロシアでは2011年にモスクワ・ビエンナーレとエカテリンブルク国立現代アートセンターで、最近ではポーランド・ブロツワフのWROアートセンターで作品を発表しています。作品制作に当たっては、高等教育機関(パリ第1大学パンテオン=ソルボンヌ、ユルスリーヌ国際文化センター[CITU]、パリ第11大学、パリ政治学院メディアラボ)のほか、フランス国立科学研究センター(CNRS)の機械・エンジニアリング科学のための情報学研究室(LIMSI)やディアゴナル・パリ=サクレーなどの研究機関の協力を得ています。その仕事はデジタル技術やその利用に批判的な眼差しを向けています。人間は身辺を取り巻くものや既知のものを再現し続けるという事実の確認に基づき、ベルトラン・プラーヌはコピーとオリジナルの比較を、人間の存在論的機能を理解するための究極の手段として、考察の中心に据えています。
現代社会のいたる所に入り込んだロボットと人間の関係に関心を抱いているベルトラン・プラーヌは、現代日本における機械との特別な関係を観察する仕事に取り組みたいと考えています。確かに日本は、人間の姿に似る一方の機械づくりを始めとし、ロボット工学におけるイノベーションに関する予言的ビジョンを提供しているように思えます。現代の科学者や哲学者が抱いている実践・倫理に関する問題意識を中心に据え、ベルトラン・プラーヌはロボット技術の最新のイノベーションと直接向き合うことになります。これに当たっては、革新的な機械が既に人間と相互作用している現場を訪れたり、関西の有名大学でロボットづくりの環境を学ぶことになります。こうした観察を通して、ベルトラン・プラーヌはロボット産業発展の社会的要因とその影響を明らかにしたいと考えています。