02 4月 ガエル・イポリット&リナ・エンゲン Gaëlle Hippolyte & Lina Hentgen
2人の女性アーティストのコラボレーションから生まれた架空のキャラクターであるイポリット・エンゲンは、共有された視覚記号体系のアプロプリエーション(流用)や操作・改変を楽しんでいます。
イポリット・エンゲンはガエル・イポリットとリナ・エンゲンの2人組ユニットで、型にはまった考え方、共有されたイメージ、識別可能な記号体系を巡る仕事をしています。バンド・デシネ、アニメや風刺漫画からの借用を行うことで、イポリット・エンゲンは世間一般に流布されているイメージの徹底した探求を行為を通して行なっています。つまり、絵を理解するために絵を描くこと、絵が備えた力と可能性を理解することで、指示的で、変幻自在で複合的な巨大なコラージュ作品を構築し、その使用を通して集団の記憶の中に留め置くことなどです。
日本のマンガにおける幻影と奇妙な化け物。
タヌキと河童と天狗と妖怪たちの大パレード:ジャンルの変遷
2人組が取り組むことになるのは日本の妖怪の図像学。それは江戸時代から印刷物によるマンガの普及に至る怪奇幻想の歴史を構成するものです。2人は資料の収集や標本採取を芸術的な行為だと考えています。2人のアーティストは《奇想》の絵画における起源から現代のマンガに至るまで、妖怪変化の世界を巡るアーカイブを作成することになります。そして、このアーカイブに基づき、出版のための原案の作成を考えてます。また、グラフィックと語りの重要性を把握するため、《線画映画》のグラフィカルなアニメ画像を巡るリサーチと実験に基づくアニメ映画の制作も目指されます。日本の素材に適し、日本の職人仕事に着想を得た制作作業が進められることになります。