『ヴィラ九条山、思い出の映像』1992/1993

アンジュ・レッチアがこの日本で発見した新しいアプローチは今までの彼の制作方法に自然になじみ、今までの感受性を更に確固としたものとしたといえ るだろう。したがって、当時を呼び起こす材料として今回彼が家庭用のホームムービーで捉えた当時の日常の風景を用いることにしたのは当然の流れなのかもし れない。恣意的にアマチュア作品仕立てにしてある『ヴィラ九条山、思い出の映像(Villa Kujoyama, Images souvenirs)』からは、この作家が一見平々凡々に見える月並みなできごとをいかに心動く特別なシーンに仕上げていくか、彼独自の手法を除き見るこ とができる。楽しげに遊ぶ子供たちやアトリエでの出会いを撮ったシーンとシーンの合間に、アンジュ・レッチア自身当時特に記憶に焼きついた映像が挟み込ま れている。それは例えば、京都の空に立ち昇る煙であり、テレビに映し出された宮沢りえの姿であり、そしてその後、広島の悲劇を記念する象徴的な映像へとつ ながっていく。日本のロックグループ・RCサクセションの曲から抜粋した音楽がエンドレスで流され、過去は常に現在と結びついていることが喚起される。」 映画・美術評論家 ファビアン・ダヌシ

上映時間:9分30秒。

協力・提携:学校法人 二本松学院 京都伝統工芸大学校(和紙工芸専攻)