28 9月 Allo Kyoto ? リモートレクチャー ニュイ・ブランシュKYOTO x ヴィラ九条山 Allo Kyoto ? 5 auteurs au bout du fil en direct pour Nuit Blanche Kyoto à la Villa Kujoyama !

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第10回ニュイ・ブランシュKYOTOにおいて、ヴィラ九条山は、流動や変化にまつわる作品を発見する象徴的な旅に皆様を誘います。ヴィラ九条山にとっての2020年は、とても静かな1年となりました。レジデント不在という、所々に穴が空いたようにも感じられる建物の中にも、創作が存在します。川の水が流れるように、ここでは時間が流れ、様々な経験が続いているのです。
身体が言葉や音にどう混ざり合うのか、水が動作にどう浸透するのか、ヴィラ九条山に滞在したアーティスト達の想像する多様な「FLUX /流れ」。これらをフランスと京都を繋ぐような形の特別なプログラムを通してお楽しみいただけます。

ヴィラ九条山(京都)から、フランス、ベルギーに居る元レジデント作家達に電話をかけて下さい。電話で直接つながる、またとない機会です!

16:00から18:00まで / 会場 : ヴィラ九条山 / 入場無料
朗読箇所の日本語訳を準備しています。

また、フランスにいるフィリップ・アダン、 コリーヌ・アトラン, オリヴィア・ローゼンタール、 アルノー・リクネール、 ジャン=フィリップ・トゥーサンといった文学作家達に電話をかけると、彼らの朗読を聞くことができます。作家自身が、既に出版されている作品や、未発表の作品を、フランス語、または日本語で朗読する、特別な時間をお過ごしください。

ジャン=フィリップ・トゥーサン (1996年)

『切迫と忍耐』, 深夜叢書出版, 2012年
『逃げる』深夜叢書出版, 2005年

語り手とその別れた恋人マリーとの関係を描いた4部作シリーズの第2作『逃げる』で2005年度メディシス賞に輝いたジャン=フィリップ・トゥーサン。『切迫と忍耐』はその彼を案内役に、作家の仕事の舞台裏に潜入させてくれます。2012年に刊行されたこのエッセー集を要約するのは簡単ではありませんが、明快な自画像と文学に対する生き生きとしたオマージュであり、文学に対する明快なオマージュと生き生きとした自画像であると言えます。この味わい深い書物から選び出された抜粋は創作のプロセスを語るとともに、書くこと、読むことへと誘い、京都に居ながらにして耳を傾けることを促します。

コリーヌ・アトラン (2003年)
日本語での朗読も可能です。
「黎明の僧院」(仮)

精神世界へと導いてくれる書を好む人には、実に魅力的な一冊である。小説の舞台が日本で、時代は幕末から明治初期までです。 将軍と天皇が覇権を争った内戰<戊辰戦争>後の、鎖国から抜け出して封建主義と決別した時代である。やがて周知の通り日本は近代国家として大いなる発展を遂げるのだが、これはその黎明期の話である。しかしながら本書が描くのは、歴史そのものではなくこれらを時代背景にした、ひとりの少年がたどる一生の物語である。 京都でお医者さんの家族の次男で生まれ、母の死後、父によって真言密教の総本山として知れた高野山にある僧院に預けられ、新米僧として修業させられる。少年に感情移入させられてしまう。迷い、憧れ、欲望、そして輝かしいきらめきの瞬間の数々をともに経験し、子供時代から最後まで彼とともに人生を旅しているような錯覚に陥る。
高野山にはどんな秘法や慣習があるのか俗人には計り知れないが、新米僧となった密道応は寺を出て、隠遁僧として森に暮らし始める。やがてセイロンへと旅立ち、インド、ネパールとめぐり修行を重ねる。そこでヒンドゥー教のタントラ派の尼僧とめぐり遭い、彼女によって、彼は異性に目覚めそのすばらしさを知る。そしてついにチベットにたどり着き、その数年後に変わり果てた日本に帰ることになる。肉体の中に宿る精神世界への旅に誘い、存在の意味を求めてさまようひとりの人間の人生の旅へと誘う小説。

フィリップ・アダン (2005年)
「玉川上水」, (2005年)

『玉川上水』において、フィリップ・アダンが見つめ直すのは有名な日本人作家、太宰治の最後の日々。太宰は1948年6月13日に東京郊外の玉川上水で入水自殺を図りました。潜在的な罪悪感、慢性的な酩酊状態、愛情の探求と不可能な贖罪がこの独白形式の小説の主軸となっており、この作品からの抜粋をお届けします。そこでは、ポエジーと状況の叙述の間を微妙に揺れ動きながら、この奇妙な1日の物語を内側から見直す試みが行われています。

オリヴィア・ローゼンタール (2018年)
『私生児礼讃』、ヴェルティカル出版、2019年

世界が身の回りで崩壊しようする時、オリヴィア・ローゼンタールの新作小説の9人の登場人物は彼らを脅かす危険にどのように立ち向かうのでしょうか? まったく意外なことに、彼らは5夜連続で、私たちの社会であるかも知れない社会において、自らの来歴をその起源まで遡ることになります。レアリズムとSFの狭間で、2020年との気がかりな呼応を伴いながら、あなたが選び出す抜粋箇所が、数夜のうちのいずれかで、あなた自身を10人目の登場人物に仕立て上げます。

アルノー・リクネール (2019年)
「湖の島」、(執筆中)

アルノー・リクネールがお届けするのはヴィラ九条山でのレジデンスに引き続いて執筆中の小説次回作『湖の島』からの抜粋。小説の舞台は、湖にポツンと浮かび、山々に囲まれた辺鄙な島にある一軒家。この家にはひとりの男が住み、単調な活動を繰り返し、逃れようのないさざ波の音を拍子として、頑なに沈黙を守っています。時には靄が何もかも包み込み、湖を見えなくすることもあり、時には予期せぬ音が静寂を横切ることも・・・。その音が聞こえますか?

En mouvement – ニュイ・ブランシュKYOTO
2020年10月3日(土) – 会場 : ヴィラ九条山
15:30から20:30まで – 入場無料