17 6月 今年で2年目になるアーティスト・イン・レジデンス プログラム2020/2021 イン パリの最終選考の結果をお知らせします。 2 japanese artists selected for AIR program in Paris 2020/2021

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アンスティチュ・フランセとシテ・アンテルナショナル・デ・ザールのサポートを受け、京都芸術センター、おおさか創造千島財団、ヴィラ九条山が主催する本レジデンシープログラムに採択されたのは、梶原瑞生さんと松延総司さんの2名です。

このプログラムにおいて、選出者2名は2020年10月からと2021年1月からの3ヶ月間、5機関のサポートを受けつつ、パリのシテ・アンテルナショナル・デ・ザールに滞在します。
滞在終了後には、大阪または京都で報告会も実施されます。

アーティスト・イン・レジデンスプログラム2020/2021インパリのプレスリリース

アーティスト・イン・レジデンスプログラム2020/2021インパリ

梶原瑞生
1993年生まれ

Mizuki Kajihara_simple and soft but not so slow_sound installation_2020

Simple and soft but not so slow, sound installation, 2020

滞在期間: 2020年10月-2021年1月

主に西洋のクラシック音楽を題材にし、正確に組み立てられた楽譜を身体的経験によって破壊・再構成するという試みを通して作品を制作している。
記号を新しい情報に置き換えることへの関心から出発し、音楽を通して現代と古典を繋ぐことで、現代アートの新しい可能性を探る。

『生への復帰、あるいは』

このプロジェクトは、エクトル・ベルリオーズの代表作、通称「幻想交響曲」を出発点とする。彼は個人的な失恋の経験から着想を得て5部からなる交響曲とその続編を執筆したが、いずれも本人によって「恋人(ハリエット・スミッソン
1800-1854)」と具体的に定義されるフレーズが何度も変化して現れることが特徴である。
音を1つのモチーフと明確に同一化させるというルールが、言語の果たす役割とも非常に似ていることに着目したこのプロジェクトでは、幻想交響曲で使用される代表的なフレーズを伝言ゲームのように伝えてゆき、その変化を記録する。
それぞれが演奏するフレーズの変化は、土地や環境からなる人間一人一人の認識の違い、言語とモチーフの結びつき方の違いを反映する。

イデー・フィクスと呼ばれる手法においてベルリオーズはイデー(idea)を固定化し、音楽の持つ役割を限定した。その具象的な音楽を再び抽象化することで、音楽を超えた「人間の認識」に焦点を当てる。

主な展覧会
・KUAD ANNUAL 2020 フィールドワーク:世界の教科書としての現代アート, 2020年、東京都美術館、東京
・ ULTRA GLOBAL AWARD 2017 Exhibition 新しい泉のための錬金術―作ることと作らないこと、ギャルリ・オーブ、京都

ウェブサイト
mizukikajiharaportfolio.tumblr.com

松延総司
1988年生まれ

Soshi Matsunobe_schema_2020

SCHEMA, 807x1200x800mm, ニヤ板、アクリル塗料、ウレタン塗料, 2020

滞在期間: 2021年1月-4月

穴(0次元の点)や裂目(1次元の線)のような、凹み、影、虚無、空白を表す概念を、形あるものとして2次元、3次元の空間に表出させる試みをベースとして制作活動を行う。
近年は壁紙を使ったインスタレーションや街中に石を置くプロジェクト、野外彫刻作品などを通して、サイトスペシフィックな側面を追求する。

『「地」を表現するコンセプチュアルなインスタレーション作品の研究と実践』

「地」とは、壁、床、地面など直接的な「背景」を指すこともあれば、素材、法則、習慣など「出来事の背景(プロセス)」を指すこともある。このプロジェクトでは、「図と地」でいうところの「地」をテーマに「地」を多角的に捉え直して再構築しつつ、その概念の正体に迫ることを目指す。

既存の「地」を相対化し、作品が成り立つ状況や環境を逆照射するダニエル・ビュランの表現とその多様な展開、オリジナルプリントの壁紙を使った空間構成、最先端の建築やデザインの視点からみる小規模建築に関する3つの調査を軸として、インスタレーション作品への応用を通しつつ「地」の新たな表現方法を探る。

主な展覧会
・ KYOTO ART FOR TOMORROW 2020 京都新鋭選抜展2020 – 京都文化博物館、京都
・ SEE THE SHADES 2019, Hagiwara projects, 東京

ウェブサイト
matsunobe.net