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カルル・マズロ

工芸 手の賢さにささげるリリアン・ベタンクール賞®
2026/09/01 
 2026/10/01

プロフィール

カルル・マズロは、ブール工芸学院卒のジュエリー作家であり、素材の記憶、質感、変容に焦点を当てた現代的なジュエリーを探求しています。

彼の活動は、鋼材や建築の断片などの回収素材や未加工の石を優先し、各作品の独自性を際立たせます。同時に、他者が目を止めなかったであろうものの価値を評価する、職人的かつ意識的なアプローチに基づいています。

2019年、彼はパリに自身のジュエリー制作、研究アトリエを設立しました。オーダーメイドの一点物や限定コレクションを展開し、彼のハイブリッドで横断的なアプローチを評価するフランスの大手メゾンとも定期的にコラボレーションをしています。また、手の賢さにささげるリリアン・ベタンクール賞® などの権威ある賞も受賞しています。

彼の創作は、体験によって豊さの増したジュエリーにより深い価値を与え、伝統的技法を転用することで、私たちの宝飾品への認識やその機能を問い直すことを目的としています。

 


プロジェクト

俳句を巡る考察

ヴィラ九条山でのプロジェクトは「Réflexions autour des Haïkus/俳句を巡る考察」と題され、日本滞在中に出会った人たちに問いかけることで、俳句という短詩の表現をジュエリー・デザインに移し替えようとするものです。こうした目的のため、一連の道具を制作し、幾何学的な形状のノミ一式を新たに用意しています。書道における筆のように、一つひとつの道具は、そのサイズ、直線、曲線や力のかけ方により、詩的表現なスコアに従い、金属を切断し、成形することになります。

Hi no Michi(火の道)

ヴィラ九条山滞在中、カルル・マズロは火を素材、インスピレーション、そして普遍的な言語として探求します。プロジェクト『Hi no Michi(火の道)』は、この火の持つ接合、保護、繋ぐ力に着目したリサーチです。

京都では、伝統的な日本の技法である楽焼や、祭などの火を用いた儀式などに触れつつ、自身の素材融合のアプローチと対比させながら研究を進めます。このプロジェクトは、観察、実験、地元職人との交流といった動的なプロセスを通して、素材の変容や記憶についての現代的な考察を育みます。

初めて日本を訪れてから10年後となる今回のレジデンスは、彼にとって原点回帰の機会でもあります。破壊的ではなく、身振りや素材を通して本質や予期せぬものを引き出す、古の火との再会なのです。